明るい生活

2ヶ月です、やっぱ3ヶ月。うそうそ5ヶ月ぐらい。ごめんなさい、来月もいいですか? みたいな感じで伸ばしに伸ばされた契約が先月の末で終わって、おれはようやく東京の上谷から横浜の菊居まで往復3時間という苦行から開放されたのであった。といっても先月末ならもう2週間前じゃねえかとなるであろうが、実は9月の2週目ぐらいから有給と連休をあわせて行かなくなっていたので、もう1ヶ月弱自由だ。

自由っていいものだよなあ。明日の起床時間に迫られ、ごはんを作れなかったり、洗濯ができなかったり、お風呂を諦めたり、睡眠時間を削ったり、そういうのがなくなった。ハッピー。ボヌール。アモーレ。で、ジムにも行き放題だし身体鍛え放題。なんてったって筋トレは最高のソリューションだから次第に重くなっていくバーベルがそのまま結果につながる。部活ではスタメンに選ばれて、学校の成績は学年3位、今月だけで4人から告白されて、気まぐれに買った宝くじが大当たり。今では引っ越して、六本木ヒルズの1350号室でペリエを飲みながら面白おかしく暮らしている。

そして実際は家に閉じこもり、ジムにも行かない週もあって、早く仕事見つけないとあかぬ、ああ新しい人間関係をまたいちから構築しなくてはいけないのか? つうか新しい職はすぐに見つかってくれるのか? 不安に怯えながら、うずくまる。声が聞こえる。おいなにしてる、もっと盛り土を持ってくるんだ、へいすみません、でも先週はいらないって話じゃありま、口答えするんじゃないよ「ビシィ!!」ムチが飛ぶ、腕にみみずばれができ、血も滲んでいる、周りを見渡せば体調が悪そうにフラフラしているおじいさん、ぎっくり腰で動けないと訴えているのに重たい砂袋を持たされる20代後半の男、ああここは地獄だ……一生かけてもとても返しきれない借金を抱え込んだ哀れな奴隷たちが4年後の東京オリンピックにむけ、過酷な地下労働施設で少ないペリカをもらい明日からがんばるんじゃない……今日……今日だけがんばっている。そんながんばっている人たちがいるのにおれってばドラッグ、ドリンク、ドランカー。増える睡眠導入剤、増える大五郎の空きボトル、あれ4Lあるから水入れるとちょっとしたダンベル代わりになっていいんだよね。最近じゃあ右手に2本、左手に3本持てるようになりました。え、なんで左のほうが多く持てるのかって? それはぼくが左利きだからさ!「でもお箸は右じゃん!」そう、矯正されたからね、こういうのをクロスドミナンスというらしいよ、本で読んだ。「なんでも知ってるんだね」何でもは知らない、知ってることだけ。「それも本でしょ?」えっ、なんでわかるの?「だってあたしもその人の本読んだことあるから」なーんだ! あははは。「あははは」

という感じでやっぱり笑いのある生活っていうのはいいなあ、素敵だなあと常日頃感じているので、晩御飯のときには彼女とバラエティ番組をよく観ている。最近だといろはに千鳥と内村てらすを見るようになった。ここは六本木ヒルズの1350号室ではないのだけど、まあ面白おかしい。