おれと舞城

昨日、舞城王太郎の「淵の王」を読み終えた。やっぱりお金もらって書かれた怖い話っていうのは2chの洒落怖の比になんねーなーっていうか、まあ有料のものがすべて無料のものに勝っているとは思わないし、そもそもおれは舞城が大好きだからそこに贔屓とかバイアスとか余計なものがあってそう思うのかもしれないけれど、あぁ舞城っていい! 全317ページ、3章だてのおもしろ怖い話を読み終えて、ぱたんとページを閉じた。そしておれはこないだ手に入れたこれまた舞城の「イキルキス」を読み出す。

「イキルキス」は5年前に出た作品で、去年出た文庫版には書き下ろし短編が2編追加されてるらしい。読めるのはずっとあとになるけれど、安くてしかも内容が増える文庫化ってなんかずるっちい感じがしないでもないが、おれだって「イキルキス」を最初に読んだときは図書館で借りたものだったし、今再読しようとしてるのはBOOKOFFで安く買ったやつだ。ちなみに両方ハードカバー。だから書き下ろしの内容は未だに知らない。

で、一度読んでたやつだからか、「淵の王」を読み終えてテンションがあがってるからか、おれは226ページの「イキルキス」をわっと読んでしまう。最初に読んだときよりも面白かったような気がする。愛と暴力の3編。

そのままの勢いで今度はAmazonで、渾身の全力投球である「ディスコ探偵水曜日」の上下巻を注文。今度も古本。ごめんね舞城。「ディスコ探偵水曜日」は、うっわ意味わかんないでもなんかわかるおいしい食べづらいおいしいって感じのフルコースが1000ページ以上続くメタハードボイルドミステリーSF小説で(ほらもうわかんない)、個人的にはそれまでの集大成的な作品だと思っている。そのあとの「ビッチマグネット」、「イキルキス」で緩やかに今の段階に移行したんじゃないかな。

今の段階っていうのは、怖い話というのもあるんだけれど、感情とか一般論とか同調圧力とかに負けない論理的な主張を、周りの人とある種、バトルのように交わす貫く突き通すお話がベースになっている。んで、怖い話っていうのもその感情とか一般論をオカルトな存在として描いたに過ぎないようにも思える。

でも正直言って読みこぼしている作品もあるので、このおれの印象というか舞城論は正確さを欠いていて、うーん。となっているところ昨日の深夜に頼んだ「ディスコ探偵水曜日」の上巻がもう届く。すげーな、現代社会。未来。Amazon。ドローン。いや、ドローンじゃなくてクロネコヤマトさんなんだけど。おわり。