仏滅ベストアルバム ライナーノーツより

ブラックサバスのコピーバンドとして結成されたロックバンド、仏滅。

インディーズ時代に発売された1stアルバム「赤口」からそのアンビエントかつヘビィな音楽性に注目があつまり、アルバム「仏滅」でメジャーデビュー。喪服姿のメンバーが青木ヶ原撮影されたジャケットに、公式Twitterアカウントや公式ブログに非難の声が寄せられ炎上し、同時に一気に知名度が上がった。炎上騒動は同時期に起きた著名人の薬物騒動によって(仏滅側からは「次のアルバム(「友引」)で着るよりもマシだろ」という発言があったことも付け加えておきたい)、自然消滅。また予告通りのタイトルがつけられた「友引」から、音楽性も退廃的なものから、徐々に哲学的なものへと変化し、ジャケット騒動で名前だけ知っていた層にも受け入れられるなど、ファン層は変化していった。初期に見られた不吉な印象は影を潜め、古参のファンからは「仏滅に色がついた」「仏滅は仏滅までが仏滅」「もう大安に改名しちゃえよ」などの声があがった。

事実、六曜からアルバムタイトルを名づけていた仏滅は大安に向けるかのように、所謂ストーナー、ドゥームといったヘビィでテンポの遅いジャンルだけでなく、プログレ的といえる複雑な曲構成、金管楽器を取り入れた狂騒的な要素を盛り込んだ楽曲を発表していく。2作同時リリースとなった「先負」、「先勝」は今までにないバラエティに富んだジャンルを網羅した意欲作となり、かつての「赤口」や「仏滅」を彷彿とさせる楽曲も収録されたことで、初期のファンからも歓迎されスマッシュヒットを記録。六曜・六部作の完結と銘打たれた「大安」にはファン以外からも注目が集まった。

しかしそんな中、悲劇が起きる。ボーカルと全楽曲の作詞を手がけていた矢場の交通事故死である。「大安」製作中の出来事であった。残されたメンバーは、矢場の葬儀中に仏滅を解散することを決定。矢場の死が自殺ではないかという憶測も流れたため、記者会見を行いそれを否定した。その後、メンバーは音楽業界の表舞台から姿を消したため、奇しくも、デビューと同じ喪服姿が彼らがメディアに残した最後の姿となった。