おれと肩こり

鳴らしちゃいけないってわかってるんだけど、どうしても肩こり、首回りの凝りがやばくて、ポキっと鳴らしていたらいつのまにかボキ、バキ、ベキと音が鈍くなっていって、最近では逆にものすごく硬いものを折るようなペキというかちかちな音がなるようになった。

あーもう肉体捨てたい。あるいはゲル状の身体になりたい。そう思いながら仕事をしてると、仲の良い同僚の西尾木さんが「身体を鍛えると肩こりが雲散霧消しますよ」と言ったような言わないようなおれは真っ白い部屋に軟禁されて、一日中キーボードを叩いてるだけなので西尾木さんなんて人はどこにもいないような、ぼんやりとした不安と深い悲しみの果てに、そうか、筋トレか! となった。

筋トレといえば、上谷に住んでいたときは目の前にプラチナフィットネスがあったので、そこに入会して、腕なし腕立て伏せ、モンゴリアンヒンズースクワット、三日三晩米粒を見つめ続ける修行などをしていたから、筋肉も柔軟で骨を鳴らしたときも、ぴゅに♪とか、きゃるん☆とかうふふ♡とか比較的かわいい音がなっていて、職場でも大好評だった。OLたちが「触らせてください。鳴らしてください。サインください。インスタにアップしていいですか」と列をなし、最盛期にはツイッターのトレンドになって、転売屋も現れる始末。おれの何を転売するのだ。転売屋死すべし。ミニスーパーファミコンが通販で定価で買えないのはあいつらがいるからだ。許せん許せん許せん。

嗚呼しかし、怒りは筋肉を硬直させる。いつしか、にゃふ〜だった首の音は、ドゴスギア!! ガイギア!!! ドズルザビ!!!! とハードコアな音を立てるようになり、現在の肩こり、首こりにつながるわけ。で、さらにおれは転売屋への怒りが増し、夜中の2時にアマゾンで調べた転売屋の住所をびっしりと書いたワラ人形をコツーン、コツーン。五寸釘を打ち込んでいたのだったが、人を呪わば穴二つ。呪いの力は本人でも制御出来ず、犠牲者が1人だけで済まないから、墓穴は多めにほっておけよって先人の教えの通り、あっという間に穴が埋まって、おれは死体遺棄の罪で捕まりかけた夢を見たのもぜんぶ肩こりのせいだ、そうだ、健全な精神は健全な肉体に宿ったらいいのになぁ。背中が痛すぎて、昼休みに眠ることもできない。悲しい。睡眠を取り上げられた虎は、バターになって死ぬというバンコクのことわざのようにおれは溶けて溶解してなんかようかい。パート33と1/3でお会いしましょう。また。