おれの2008年08月20日10:34

 おれの2008年08月20日10:34

 こないだ100メートル走でジャマイカの人が世界新記録、9秒69を出した。つうことは。つうことは、だ。彼が万引きして店員が「ちょっとお客さん、今取ったのを見せて」とか言って止めてもこいつは余裕でぶっちぎりで逃げられる。何せ9秒69だからそこらのファミリーマートの店員じゃ追いつけない。あいつらはファミチキを揚げるのは上手いが走るのはそうでもない。多分ローソンやセブンイレブンの店員でも無理だろう。つうか無理だ。 

 じゃあ本屋なら八百屋ならスーパーマーケットの店員ならどうか。といってもきっと無理で、それは彼ら店員たちが自転車に跨っても変わらないだろう。恐らく原付に乗れば追いつけるだろうが、いくら小回りが利くとはいえ、人混みや建物の中に逃げられたら追いかけられない。 

 だからコンビニ店員がこの新記録保持者から商品を守るには先回りする、もしくは道行く人に協力してもらうことが不可欠で、簡単なのは大声で「万引きだ! 捕まえてくれ! 」と叫ぶことだと思う。そうすれば正義感溢れる誰かが逃走を妨害してくれないとも限らない。いくら9秒69で走ることが出来ても急に目の前に現われたインターセプターをかわすことは容易ではないはずだ。うん。 

 これでおれたちはこの新記録保持者の万引きに怯えてコンビニ店員を続ける心配はなくなったわけだが、しかし。ジャマイカの人間である彼が万引きを働くのはきっとジャマイカのコンビニであって、そうすると店の外で彼をインターセプトしてくれる人間もまたジャマイカ人であろう。よって「万引きだ! 捕まえてくれ! 」と日本語で言ってもきっと通じず、街行くジャマイカ人たちはレゲエでへらへら踊っているだけだろう。ジェスチャーで万引き犯の確保を依頼している間に犯人は地平線の向うだ。 

 となると我々に必要なことはまずジャマイカの公用語の修得であるが、そもそもなぜジャマイカでコンビニ店員をしなければならないのか。という指摘は実に鋭い。鋭いがジャマイカの公用語は我々に馴染みの深い英語だ。よってリピート アフター ミー。サムワン、キャッチ ヒム!