次から次

電車とか公園のベンチで、人と人の間に一人分スペースが空いているとき、なんとなく座りにくい。他人と他人が間隔をもって一定の調和を保ってるのを壊してしまうような気がするのか、普通に二人も同時に知らない人の隣に座るのがストレスなのか、それとも両方なのかとにかくちょっと躊躇してしまう。それにその二人が男だったら、男同士に挟まれるってBLTサンドかよなんかやだなとなるし、女だったらうわ女に挟まれたい男だわ気持ち悪いわ吐き気がするわツイッターにインスタグラムにハッシュタグで♯キモ男 ♯普通、座らないだろ ♯福山雅治ならいい とか書き込もうとか思われるに違いないので座らない。

が、いまおれは構わず座ってしまう。というのもインスタグラムにハッシュタグで文章を書く文化がおれは大嫌いでそんな女にどう思われようともへいちゃら平気のすけだからというわけではない。本当はハッシュタグで文章書く女大好きだし。いいねを連打するし。できれば扶養したい。なんでも好きなもの買ってあげるからそれをまたインスタグラムにアップしてハッシュタグで文章書いて芥川賞とってほしい。ショップの開業資金も出す。ブランドの立ち上げ金も出す。三代目J Soul Brothersも全曲歌えるようにする。結婚しよう。センテンススプリング。

違うんだよ。彼とはただの友達だよ。両親に会いに行ったのは軽率だったよ。反省してるよ。ジャニーさん、どうもすいませんでした。おれは板東区からここ神奈川県横浜市まで寒い中、つーかまじ寒くない? 暖冬ってニュースはなんだったんだ。こんなに寒いならニュースなんて意味ないではないかニュースなんて無視してもいいのではないか、ゲスの極みベッキーSMAP解散甘利大臣金銭授受ってニュースを文中に挟んでもわりと無視して読めるんじゃないかバス転落日経平均安値更新キンコメ再逮捕って凍えそうになって、地下鉄と私鉄と国鉄に揺られ、3時間15分、乗り換え4354回、足も腰も棒と鉄骨に成り果て、座りたくてしょうがないから座るのだ。これも嘘。いうほどには疲れてないしそもそもそんなに時間も乗り換えもかかってないし、単にそんな座る座らない自意識問題に脳のリソースを割いていないから座る。常に思い巡らすのは前職・前々職のミスとか前職・前々職をけっこーわりとすぐやめちゃって掛けた迷惑のこととか、小学校中学校高校大学の恥とか、雪だるま式に増えていく体重のこととか、父親の喉にできた腫瘍のこととか、粘着質な懊悩であり煩悶であり惨痛や苦患ばかりで、ああまた嫌になってきた。そうだ、座るんじゃなくて線路に飛び込もう。でもこの駅には急行が止まってしまう。なってこった! いやそもそもなんのために日本のビバリーヒルズである神奈川県に横浜市緑区に来たのだ。そうだった。おれは短期ではあるが仕事の面接を受けに来たのだ。

んで、その面接はあっちゅーまに終わってしまい、あっちゅーまに結果が出て、でもしかし父親の腫瘍が悪性か良性かはすぐに結果が出ず、2週間後にわかるということで、悪性だったらまじやべえなー父さんのラッパー人生終わるなーもうあのdopeでハーコーなオールドスクールの粋でいなせなライミングがが聴けなくなるのかなー。そういえば父さんのラップを最後に聞いたのはいつだったかな。記憶がない。そもそも父がラップしてる姿をおれは見たことがないのではないか。ああ父さんのラップが聞きたい。母さんのトラックにのせた父さんのラップ。ちちのりりっくのぼうよみ。←なんとこれが言いたかっただけなのです。さようなら。